Scientific Mobility Conference
1. 日 時:平成18 年 9 月 7 日(木)
2. 出張先:Stanford University
UCIの研究資金:5年連続で記録的増加
カリフォルニア大学アーバイン校(以下、UCI)が2005-2006年の間に獲得した研究資金は約3億1000万ドル、前年度より18%の増加である。
UCIは過去5年間で60%以上研究資金を増加させており、毎年記録を更新している。
研究資金で最も大きな割合を占めるのは、生物科学及び医学であり(68%)、この分野で研究者が得た資金は2億1000万ドルである。さらに今年度は、100万ドル以上の研究資金を35種類獲得という記録も打ち立てた。さらにトータルで100万ドル以上の研究資金を得た教授は63名。
研究資金の78%は研究プロジェクト、6%は臨床試験に、8%は研究支援やフェローシップに充てられる。また、資金源の内訳は、連邦系機関が64%、非営利機関は18%、産業界が10%となっている。
UCIの副総長であり、graduate studiesの学部長でもあるWilliam Parker氏は、「この記録的な研究資金は、教員の質や士気の向上につながっている。また、今年度の大幅な研究資金増加は、連邦政府による支援によるところが大きく、今回の増加(8%)はNational Institutes of Health (NIH)のような国家機関が研究支援を全国的に引き揚げるのと同程度である。また、このような研究資金の増加は、UCIのキャンパスで行われている研究に対する価値の認識を上げた。」と述べている。
参考:http://www.today.uci.edu/news/release_detail.asp?key=1506
米国大学院 外国人入学者数3年連続減少 ~NSF発表資料(2004年度)~
米国科学財団(National Science Foundation:NSF)は、報告書「First-time S&E Graduate Enrollment of Foreign Students Drops for the Third Straight Year」を発表し、2004年度、外国人(temporary-Visa holders)の大学院入学者数(Full-time)が、3年連続で減少したことを明らかにした。
これによると、2004年度は前年度比7%減少、2001年度から比べると20%の減少となった。一方、米国市民及び外国人永住者(以下、「米国人等」)の入学者については前年度比1%の減少幅にとどまったが、これは2000年の調査開始以来、初めての減少である。
また、外国人ポスドク数も同様に減少傾向にある。米国人等ポスドクは前年度に比べ、わずかに増加したが、外国人ポスドクの減少を上回るほどの数ではなく、ポスドク全体では2%の減少となり、1978年の調査以来、初めての減少となった。
報告書の主な内容は以下の通り。
- 大学院在籍者
大学院在籍者数は全体で0.5%以下の微増だが、これは米国人等の在籍者が増加したことに依るものだ。外国人の在籍者数及び全体に占める割合は、 1997-2002年の間、毎年増加してきたが、2003年は在籍者数が増えたにもかかわらず、全体に占める割合は32%から31%に減少した。2004 度は在籍者数(-3%)・割合(31→30%)ともに減少。 - フルタイム/パートタイム
フルタイムでの在籍者数は340,600人を超え(前年度比0.5%増)、全体の72%を占める。(1994年度は同68%)。一方、パートタイムでの在籍者数は0.05%以下の微増であり、長期的にもフルタイムの比率が増加傾向にある。外国人については、よりフルタイム志向の傾向が強く、2004年は外国人全体の85%を占めた。(米国人等は同65%) - 研究分野
コンピューターと工学の分野を除くほとんどの分野で在籍者数が増加した。コンピューターは2003年度から減少が続き、2004年度は前年度比で6% 減。工学は同3%減となり、1998年以来初めての減少となった。内訳をみると、工学では、宇宙航空・生物医学を除いた各分野で在籍者数が減少、最大の減少率となったのは電気工学(前年度比7%減)であった。反対に、10,000人以上の在籍者数を有する分野で在籍者数が最も増えたのは、物理学と政治学で、それぞれ前年度比6%増となった。以下、化学と心理学がこれに続く。 - 統計
女性の在籍者者が占める割合は近年増加傾向にあり1994年の37%から、2003年は42%まで増加したが、2004年度についても同レベルを維持した。女性の在籍者数はここ20年で毎年増え続け、2004年度は前年度比で2%増となった。対照的に男性の在籍者数は1993年のピーク後、1998年まで減少を続けた。2004年度は前年度比0.7%減。
また人種についてみると、過去10年間白人系の在籍者数が減少する一方、マイノリティの在籍者は増加している。1994年度では米国人等在籍者のうち、(非ヒスパニック系)白人は78%占めていたが、2003-2004年度では68%まで減少した。以下、アジア系9%、黒人7.4%、ヒスパニック系 6.7%、インディアン・アラスカ系1%以下の順に続く。2004年度の特徴としては、ヒスパニック系が5.4%増加したのに対し、アジア系が1.3%減少した点である。圧倒的に少ないマイノリティである黒人、ヒスパニック系、インディアン・アラスカ系の数は1994年以降、毎年約5%ずつ増えており、 2004年には米国人等在籍者のうち、15%を占めるに至った。 - ポスドク
アメリカの学術機関では約33,000人のポスドクが研究活動に従事しているが、前年度に比べ、若干減少した。米国人等ポスドクが1%増加したのに対し、外国人ポスドクは3%減少した。外国人ポスドクの減少は1977年の調査開始以来、初めてである。但し、2004年度の減少を含めても、ここ10年間では外国人ポスドクは45%増えた。対照的に米国人等ポスドクは同じ期間中、9%減である。 - データ
報告書はthe fall 2004 Survey of Graduate Students and Postdoctorates in Science and Engineeringのデータに基いている。アメリカ及びその周辺に所在する589の高等教育機関の約12,240の部局から集められた。
有効回答率98%(うち12%はデータの一部が消失)。
参考:
http://www.nsf.gov/statistics/infbrief/nsf06321/
(「First-time S&E Graduate Enrollment of Foreign Students Drops for the Third Straight Year」)
http://www.nsf.gov/statistics/gradpostdoc/
(1994~2004年度までの調査結果、各種データ)
Gathering of JSPS Japanese Fellows
WHEN: July 28th (Friday), 2006 5:00pm – 7:30pm
LOCATION: Hotel Durant, University Room
2600 Durant Avenue, Berkeley, California
On 28 July, the JSPS San Francisco Office held a “Gathering of JSPS Japanese Fellows” in Berkeley, California. Its purpose was to promote trans-disciplinary exchange among Japanese researchers working in the US and to deepen a sense of colleagueship while facilitating network building among them. San Francisco Office had this kind of gathering in 2004 for the first time. This, the fifth such gathering organized by the Office, brought together 27 Japanese researchers. Some were fellows under JSPS’s “Postdoctoral Fellowships for Research Abroad” and “Research Fellowships for Young Scientists” programs and others were invited Japanese scientists doing research in the US.
The meeting began with remarks by San Francisco Office director Dr. Seishi Takeda. After a toast, time was given to allow the participants to engage in free conversation. The casual atmosphere made it easy for them to relax and get to know each other. The participants were then asked to introduce themselves and their research work. This added impetus to the conversation among them on such subjects as where and what they had researched and their experiences of living in the US and other countries. Following this time slot, talks were given by Prof. Katsumori Matsushima, The University of Tokyo, and Prof. Toshihiko Nishimura, Deputy Director, Tohoku University’s US Office, on the significance of doing research overseas and the importance of networking with Japanese colleagues. The young Japanese researchers were both motivated and encouraged by these messages based on the professors’ wealth of personal experience.
After Dr. Takeda closed the gathering with remarks, the participants continued lively talking, meeting the expectation of developing networks and contacts between the future researchers.
カリフォルニア州政府がUCへの予算増 (2006-07年予算)
2006年6月30日、カリフォルニア州知事アーノルド・シュワルツェネッガーは2006-07年予算に署名した。
今年度(7月1日~)のカリフォルニア大学への予算はトータルで30 億7,700万ドル、2005-06年と比べると+2億3400万ドル、+8.2%となる予定である。
これには、カリフォルニア大学の入学者数の増加、授業料の引き上げ分を受け止めるための財源、優れた教職員への給与を増やすための手当、K-12 (幼稚園から高校3年生まで)の児童生徒を対象とした教育サポートのための資金、コミュニティカレッジ(公立の2年生大学)から、カリフォルニア大学へ編入学するための補助等が含まれている。
カリフォルニア大学総長Robert C. Dynesは「今回のサポートに対し、知事や州議会に感謝を申し上げる。『学生への質の高い教育の提供』、『社会が直面している重要な課題に関する研究』、『人々の生活と健康に貢献するための公的サービスの提供』という私たちの使命を果たすために、大いに助けとなる。」とコメントしている。
今回の大幅な予算増加は、カリフォルニア大学の「社会に開かれたアカデミック機関」としての存在意義をより一層高めるための投資といえよう。現在の日本では、大幅な予算増加はもちろんのこと、現状維持さえ厳しい状況にあるが、財政難といわれるカリフォルニア州においてこのような決断がなされた事実は、一考に値するのではないか。
本予算の要点は以下の通り。
- 「Enrollment Grouth」.
入学者数2.5%増、一人当たり$9,900/年として、その分のコストを負担する。
これにより、カリフォルニア大学は、「カリフォルア・マスタープラン」(州の教育分野に係る基本計画)に沿った大学や大学院への入学の機会を引き続き提供することができる。 - 「Academic preparation and expansion of transfer programs」.
アカデミックパフォーマンスの向上や、恵まれない教育的環境にあるK-12の児童生徒のカレッジ進学準備のために1,730万ドルが充てられる。
また、コミュニティカレッジからカリフォルニア大学への編入学を積極的に支援するために、新たに200万ドルを追加。UCへの編入を希望する学生への助言や学問的サポートが行われる。これまで、教育的に不利な学生を多く受け入れ、UCへの編入者実績が少ないコミュニティカレッジに優先配分される。 - 「Student fees」
授業料の上昇分を学生に代わって負担するために、7,500万ドルが確保された。但し、この恩恵を受けられるのは、カリフォルニア州居住者に限られる。
これは、専門職大学院の授業料上昇分(毎年5%)も対象。 - 「Research」
UC labor researchに対して600万ドルを措置する。その結果、UC labor researchへのサポートは2000-2001の水準まで回復した。さらにカリフォルニア大学サンフランシスコ校でのGallo Substance Abuse Programに対しても400万ドルの増額を認めた。 - 「Faculty and staff compensation」
州予算及び大学の歳入からの拠出により、教職員賃金は約4%増額となる。リクルートにおける私立大学やその他研究機関との競争を考えるとまだ十分とは言えないものの、重要な一歩である。 - 「UC Merced」
2005年10月に開校したマーセッド校に対しては、基礎財源1,000万ドルに加えて、1,400万ドル追加配分する。 - 「Science and math initiative」
優秀な理数系教師育成のための「カリフォルニア指導プログラム」(前年度75万ドル措置)に、37.5万ドルを用意。 - 「Capital Investment」
予算では、カリフォルニア大学の施設の建設・改築等のために一般公債に3億4千万ドルを求めている。この決定については、11月に行われる教育施設関連債権に関する投票によって決まる。
参考:http://www.universityofcalifornia.edu/news/2006/jun30.html
The University of California Statistical Summary of Students and Staff, Fall 2005 p.6(資料)(PDF)
http://govbud.dof.ca.gov/pdf/Enacted/BudgetSummary/FullBudgetSummary.pdf(PDF)
大学院生に海外での研究機会を提供(プリンストン大学)
大学生にとって、3年生で海外へ行くことが通過儀礼になってきている現状に鑑み、プリンストン大学では、社会科学分野の大学院生に、海外で視野を広げるために「The new Global Network on Inequality」というプログラムを提供している。
このプログラムはPrinston Institute for Affairs and Regional Studies(PIIRS)とWoodrow Wilson School of Public and International Affairsから拠出されており、社会学及び政治学の大学院生が、西ヨーロッパ、日本、インド、南アフリカの計15機関の研究者と海外で共同研究するための奨学金が給付される。
ヨーロッパでは、博士課程の学生は多数の国々で研究活動を行い、様々な知的伝統を持つ教員と出会い、その恩恵を受けることが通常となっている。同プログラムは、プリンストン大学の学生に同様の機会を提供することになる。
これまで、社会科学分野の学生が海外で研究する機会は、アメリカ以外の社会を研究対象としている者に限定される傾向にあったが、同プログラムは、アメリカ社会の研究を専門にする者にまで対象を広げている点が特徴的である。
「Inequality」がテーマに選定されたのは、近年、発展途上国のみならず先進国においても、収入、学歴及び保健衛生等の格差が拡大しつつあるからである。
本プログラムを通じて、プリンストン大学で行われている優れた研究を広めると共に、アフリカ、アジア、ヨーロッパ及びラテンアメリカで行われている興味深い研究内容を直に学ぶことが期待される。
The new Global Network on Inequalityから奨学金を受ける大学院生は、まず最初に15のパートナー機関(パリのSciences PO、London School of Economics及びフィレンツェのEuropean University Institute等一流の研究機関を含む)におけるデータ収集の可能性やフィールドワークの機会について調べた上で、パートナー機関の教授と行う短期研究プロジェクトの計画書を提出する。プリンストン大学の諮問委員会、パートナー研究機関の諮問委員会での審査を経て、承認された計画について、旅費と海外で研究する2ヶ月間分の滞在費が支給される。
プリンストン大学の目標は、毎年10から12人の学生を海外に送ることである。これまで、社会学の大学院生のうち、4名がフェローシップを終了、他の8人(社会学が6名、政治学が2名)が2007年4月までの間に海外で研究する予定である。
本プログラムは大学院生に恩恵をもたらすだけではない。同プログラムによって構築されるネットワークは、優秀な学者らも共に情報や見解を共有することにも一役買っている。最近の事例としては、Woodrow Wilson Schoolの75周年記念として、国際会議「New Directions in Inequality and Stratification 」の開催が挙げられる。
会議では、本プログラムの参加機関から約45名の学者が参加、アメリカの大学からは、イェール大学、コーネル大学、ニューヨーク大学、コロンビア大学、ウィスコンシン大学、ニューヨーク市立大学、ペンシルバニア大学を含め、約50名の教員と大学院生が参加した。
McCarty(Professor of politics and Associate dean of the Woodrow Wilson School)が会議で指摘した通り、Inequality、貧困、人の移動-これらは一国の問題ではなく、全ての国が直面している国際的な問題であり、本プログラムを通じてグローバルな研究を行っている研究者たちの交流を図る意義は非常に大きい。地理的のみならず学際的に重要な問題を議論できる貴重な機会であったと言えよう。
将来的には、本プログラムは、心理学と経済学分野の学際的な研究を促進するだけでなく、国際的な広がりも見せることになるであろう。他の研究機関からプリンストン大学へ人の移動が増加することも期待されている。
MITとシンガポールが共同で新たな大型研究センターを建設予定
マサチューセッツ工科大学(MIT)とNational Research Foundation of Singaporeは、2007年にシンガポールに新たな大型研究センターを建設する予定であることを発表した。(2006年7月7日)
新たに建設される予定のThe Singapore-MIT Alliance for Research and Technology (SMART) Centerは、科学技術の最先端分野にいるシンガポールの世界的な研究者とMIT間の交流のための知的ハブとして機能する。SMART Centerは、シンガポールのNational Research Foundation によって設立されている Campus for Research Excellence and Technological Enterprise (CREATE)の中でも、世界規模の研究施設の第一号である。
SMART Centerは、Singapore-MIT Alliance (SMA) の設立時(1998年)から続くMITとシンガポール間の強力な関係を軸に設立される。10年近く前に始まった、MIT、国立シンガポール大学 (National University of Singapore,)及び南洋工科大学(Nanyang Technological University)間の革新的な教育研究の連携は、現在でもアカデミックで質の高い大学院教育に貢献しているのである。
ここでは、MITの先任教授が指揮をとり、生物医科学、水資源と環境、相互デジタルメディア及び科学技術コンピューター等、多数の研究分野の実験室やコンピューター施設が同建物内に設置される予定である。また、ここには、Center for Technological Innovationも含まれる。これは、MITのDeshpande Center for Technological Innovationの成功を手本に設立されたセンターで、SMARTの研究者とシンガポール及びその周辺地域の産業界との間の緊密な交流促進を目的として、技術移転を目的とした競争的な研究資金や助成金を与える機関である。
MITの教官、研究者及び大学院生は、SMART Centerで、シンガポール並びにアジアの大学、技術専門学校、研究機関、及び産業界のカウンターパートと共同研究を行うことができる。SMARTセンターには、MITの教授と学生が常駐し、主な研究交流は、SMARTセンターと協同する他機関の研究者のほかMITのポスドクや博士課程の学生も対象とする。
MIT学長Susan HockfieldやシンガポールNational Research and Development のpermanent secretary、Teo Ming Kianが発言している通り、SMARTは、ここに参画する研究者に貴重な機会を与えるばかりでなく、次世代を担う世界最先端の研究センターとして近隣諸国あるいは世界中の優秀な人材を惹きつける高いプレゼンスを持つことが期待される。
これほどのダイナミックな取組は一つの大学だけではなかなか難しいかもしれないが、今後の研究における国際競争・国際共同を考える上で非常に参考になる例だと思われる。今後の動向にも注目したい。
参考:http://web.mit.edu/newsoffice/2006/singapore-announce.html
SLAC
日時: 2006年6月22日(木)10:00~19:00
訪問先: スタンフォード大学
- Stanford Linear Accelerator Center (SLAC) 訪問
- Stanford Program on International and Cross-Cultural Education (SPICE)の招待で津田塾大学飯野正子学長の講演を傍聴
Georgetown University and the 11th “Science in Japan” Forum
1.期間: 平成18年6月15日(木)~6月18日(日)
2.訪問先: 11th “Science in Japan” Forum at Omni Shoreham Hotel, Georgetown University
A Live Lecture to Osaka University Students in Japan
The director of the San Francisco Office, Dr. Seishi Takeda, will give a live lecture
(via TV Conference System) to Osaka University Students in Japan from Osaka University, San Francisco Office.
THEME:
Big Science and Global Cooperation
WHEN:
June 8th (Thursday), 2006 5:00pm – 6:30pm (PST)
= June 9th (Friday), 2006 9:00am -10:30am (JST)
June 15th (Thursday), 2006 5:00pm – 6:30pm (PST)
= June 16th (Friday), 2006 9:00am -10:30am (JST)
For more information on this event, please contact the JSPS San Francisco Office.
SPICE-Stanford Program on International and Cross-cultural Education-
SPICEとは、非営利目的の教育プログラムで、主に歴史や文化をベースに、国際的・学際的なトピックの教材を作成、提供するものである。
SPICEでは、若者たちを対象として、多様な分野(地理、経済、政治学、国際安全保障、環境、歴史学、科学、外国語、様々な芸術分野)において多角的にものをとらえる力や、批評的に考える力、決断をする能力を高めることをその責務としており、言語的、民族的、社会的多様性あふれる教育現場のニーズ、生徒たちのバックグラウンドに対応できる教材を作り出すことに力を注いでいる。
特徴的なのは、大学の学生ではなく、中学生、高校生やコミュニティカレッジの受講生を対象にした教材を作成し、教師や教育機関に対して宣伝・販売している点である。
教材は、本、CD-ROM/DVD、或いは両者から構成されており、ほとんどが$20~70の範囲内で販売されている。ひとつの教材が授業を通じて多数の生徒に行き渡ることを考えれば、決して高すぎることはないと思われる。
大学が広く一般の人々を対象とした講義を提供する場合と比べると、各教師の意識やティーチングスケジュール、学生の興味関心等に合わせてコンテンツをセレクトでき、るので、多様性、融通性、汎用性といった面での利便性も高い。
既存の学問体系にとらわれない新しいアプローチは、多様な研究を行っている大学の研究者の協力なくしては難しい。また、このような視点で作られた教材で学ぶことにより、若者たちはこれからの国際世界を考えていく上で非常に有意義なスキルを身につけることができる。
SPICEにおける世の中への問題意識、教材を創作して世の中に提供するという活動は、総じて国際社会で活躍できる人材育成に大きく貢献しているといえよう。
これは、今後日本の大学が社会への貢献、人材育成を考える上で非常に参考となる取組だと考えられる。
なお、SPICEの活動を支えているのはスタンフォード大学内のFSI(The Freeman Spogli Institute for International Studies)という組織である。主な構成員はスタンフォードのFaculty、Researchers、Visiting Scholarsで、その資金の9割近くは大学外から(寄付、州・連邦政府等からのグラント)調達されている。
FSIは、学際的・国際的で新しいテーマの研究への支援を通じて、国内外の公共政策に影響をもたらすことを目的とする団体で、SPICEの他にも多数のプログラムを展開している。
参考
SPICE:http://spice.stanford.edu/
FSI:http://fsi.stanford.edu/
キーン大学(ニュージャージー州)が中国で初の試み-キャンパス開講
キーン大学(ニュージャージー州)は、今月、アメリカの大学で初めて中国に全学的なキャンパスを開講することで中国関係者らと協定を結んだ。
これまで海外の大学が中国で展開してきた取組は、ブランチオフィスや修士号のプログラムに限定されていた。今回のキーン大学の試みは、自身のキャンパスで完全なカリキュラムを提供し、学士号及び修士号を授与するものである。
キーン大学中国キャンパス
所在地 | 中国東南地方沿岸の都市、温州。 |
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学生数 | 2007年秋に新入生受け入れ、キャンパスが完成する2009年頃には3,500人から4,000人の学生を収容予定 |
施設 | アメリカのキャンパスと同様の施設を提供、インターネットを通じてキーン大学の図書システムにアクセス可能。 |
授業 | キーン大学の教員が英語で行う。 |
パートナーシップ | キーン大学と温州大学が提携。温州大学は、キーン大学が中国で行う認可手続きを支援、キーン大学に対し一時的に施設を提供、また学生のリクルートと経営の面で援助。 |
経費 | キャンパスの建設と運営にかかる費用6,250万ドルを中国政府が負担。 これまでにも、多数の海外の大学が中国にプログラムを設け、中国の高等教育に資本投下し続けている。世界銀行(World Bank)の一機関である国際金融公社(International Financial Corporation)によると、現在、中国で実施されている海外のプログラムは700以上あり、そのうち150がアメリカによるものであるという。 |
中国でプログラムを展開する海外の大学の中には、進出に際して必要とされる中国側パートナーとの間の諍いや、政府の過大な監督といった問題に直面している大学もある。それにも関わらず、英国のリバプール大学は、9月に中国キャンパスをオープンする予定であるし、ニューヨーク州立大学(アルバニー市)は、アメリカ、カナダ、中国の複数の大学と連携して10,000人の学生を収容する大学を3~5年後に設立する予定であり、海外の大学は、中国で大きな事業を展開し続けている。
参考:THE CHRONICLE of Higher Education(2006年5月19日付)
キーン大学Press Release
「Kean University to Open the First American University in China」
http://www.kean.edu/pressreleases/2006/05_05_06_UniversityChina.html
Opening: Tohoku University US Office
Tohoku University has opened Global Strategic Development Office in the heart of Silicon Valley, California, USA, on May 24th, 2006. (http://www.tohoku-u.us)
The major goal of the office is to intentionally contribute to universities and higher educational institutions in globalizing societies for responding to the increasing demands on collaborative research and education, by taking the full advantage of their advanced science and technology as well as cultural and intellectual resources, through establishing close cooperation with academia in Western Countries.
You can see more details at (Press Release from Tohoku University).
JSPS SF Office expects the Tohoku University US Office to carry out their mission sufficiently, and we are looking forward to making a strong relationship and having future collaborations with them.
Their future plans are as below:
(The schedule will be announced soon)
Open House
Opening Ceremony
Contact Tohoku University US Offices
– Location: 4410 El Camino Real, Suite 111, Los Altos, CA 94022
– Tel: 650-947-0664
– Fax: 650-947-0244
– URL: http://www.tohoku-u.us
学術研究への支援について(2004年度)
米国科学財団(National Science Foundation:NSF)は、報告書「産業界による研究開発費への資金拠出の減少 2004年度(Industrial Funding of Academic R&D Continues to Decline in FY 2004))」を発表し、2004年度の学術研究(Academic R&D in science and engineering)に対する産業界の支援は、3年連続減少したことを明らかにした。NSFは、1953年より大学の研究開発費について調査しているが、産業界による学術研究への支援は、長年減少傾向にあるという。
報告書は、大学の研究開発費に関するNSFの統計調査データを用い、大学の研究に対する資金源、最も研究費を獲得した分野及び機関について分析している。(*2004年度が最新データ)
報告書の主な内容は下の通り。
- 学術研究に対する産業界の支援
減少率(対前年)は、2002年度 1.5%、2003年度 1.1%、2004年度 2.6%。金額ベースでは、2001年度が22億ドルであったのに対し、2004年度は21億ドル。 - 科学技術研究に対する支援
連邦政府による助成が最も多い。2004年度は、2003年度の2470万ドルから10.7%増加し、2740万ドルを支援。大学における全研究開発費の連邦政府負担分は前年度の61.8%より増加し、2004年度は63.7%。 - 大学における全研究開発費
2003年度が401億ドルであったのに対し、2004年度は429億ドルに増加(+ 7.2%)。この増加は、過去2年間の増加率が2桁であったのに対し(2002年度-10.9%、2003年度-10.2%)、減速。 - 大学が研究に費やす費用
過去7年間の年平均率9%の増加に比べ、2004年度は1.5%の増加と横ばい状態。
この調査から、2004年度に最も連邦政府から資金を受けた大学がランク付けされた。(2004年度のトップ100は、2003年度と大きな変化なし。)
※ ランキングは、下記URL参照
参考:THE CHRONICLE of Higher Education(2006年5月12日付)
「Industrial Funding of Academic R&D Continues to Decline in FY 2004」
http://www.nsf.gov/statistics/infbrief/nsf06315/
2006 APRU/AEARU Research Symposium
Earthquake Hazards around the Pacific Rim
Global Watch and Environmental Impact
The Westin St. Francis, Union Square, San Francisco, CA
April 21 (Friday) – 22 (Saturday), 2006
This symposium is APRU/AEARU’s 2nd Research Symposium hosted by Osaka University and UC Berkeley, and JSPS will support it. This is also linked to the 100th Anniversary Earthquake Conference Commemorating the 1906 San Francisco Earthquake. All the participants are required to be registered. For registration, or if you are interested in details, please see this site. http://www.osaka-u-sf.org/news3info.shtml
For Your Information
The program of the symposium
APRU Association of Pacific Rim Universities
AEARU Association of East Asia Research Universities
100th Anniversary Earthquake Conference Commemorating the 1906 San Francisco Earthquake