2006年6月30日、カリフォルニア州知事アーノルド・シュワルツェネッガーは2006-07年予算に署名した。
今年度(7月1日~)のカリフォルニア大学への予算はトータルで30 億7,700万ドル、2005-06年と比べると+2億3400万ドル、+8.2%となる予定である。
これには、カリフォルニア大学の入学者数の増加、授業料の引き上げ分を受け止めるための財源、優れた教職員への給与を増やすための手当、K-12 (幼稚園から高校3年生まで)の児童生徒を対象とした教育サポートのための資金、コミュニティカレッジ(公立の2年生大学)から、カリフォルニア大学へ編入学するための補助等が含まれている。
カリフォルニア大学総長Robert C. Dynesは「今回のサポートに対し、知事や州議会に感謝を申し上げる。『学生への質の高い教育の提供』、『社会が直面している重要な課題に関する研究』、『人々の生活と健康に貢献するための公的サービスの提供』という私たちの使命を果たすために、大いに助けとなる。」とコメントしている。
今回の大幅な予算増加は、カリフォルニア大学の「社会に開かれたアカデミック機関」としての存在意義をより一層高めるための投資といえよう。現在の日本では、大幅な予算増加はもちろんのこと、現状維持さえ厳しい状況にあるが、財政難といわれるカリフォルニア州においてこのような決断がなされた事実は、一考に値するのではないか。
本予算の要点は以下の通り。
- 「Enrollment Grouth」.
入学者数2.5%増、一人当たり$9,900/年として、その分のコストを負担する。
これにより、カリフォルニア大学は、「カリフォルア・マスタープラン」(州の教育分野に係る基本計画)に沿った大学や大学院への入学の機会を引き続き提供することができる。 - 「Academic preparation and expansion of transfer programs」.
アカデミックパフォーマンスの向上や、恵まれない教育的環境にあるK-12の児童生徒のカレッジ進学準備のために1,730万ドルが充てられる。
また、コミュニティカレッジからカリフォルニア大学への編入学を積極的に支援するために、新たに200万ドルを追加。UCへの編入を希望する学生への助言や学問的サポートが行われる。これまで、教育的に不利な学生を多く受け入れ、UCへの編入者実績が少ないコミュニティカレッジに優先配分される。 - 「Student fees」
授業料の上昇分を学生に代わって負担するために、7,500万ドルが確保された。但し、この恩恵を受けられるのは、カリフォルニア州居住者に限られる。
これは、専門職大学院の授業料上昇分(毎年5%)も対象。 - 「Research」
UC labor researchに対して600万ドルを措置する。その結果、UC labor researchへのサポートは2000-2001の水準まで回復した。さらにカリフォルニア大学サンフランシスコ校でのGallo Substance Abuse Programに対しても400万ドルの増額を認めた。 - 「Faculty and staff compensation」
州予算及び大学の歳入からの拠出により、教職員賃金は約4%増額となる。リクルートにおける私立大学やその他研究機関との競争を考えるとまだ十分とは言えないものの、重要な一歩である。 - 「UC Merced」
2005年10月に開校したマーセッド校に対しては、基礎財源1,000万ドルに加えて、1,400万ドル追加配分する。 - 「Science and math initiative」
優秀な理数系教師育成のための「カリフォルニア指導プログラム」(前年度75万ドル措置)に、37.5万ドルを用意。 - 「Capital Investment」
予算では、カリフォルニア大学の施設の建設・改築等のために一般公債に3億4千万ドルを求めている。この決定については、11月に行われる教育施設関連債権に関する投票によって決まる。
参考:http://www.universityofcalifornia.edu/news/2006/jun30.html
The University of California Statistical Summary of Students and Staff, Fall 2005 p.6(資料)(PDF)
http://govbud.dof.ca.gov/pdf/Enacted/BudgetSummary/FullBudgetSummary.pdf(PDF)